【暮ノ戦記】

「暮ノ戦記」 - C白への融解

 「暮ノ戦記」と書きまして、ラゴン・ラ・ゲルテと読みます。「戦記」が「ラゴン」、「ラ」はただの接続詞、「ゲルテ」が「黄昏」とかそんな意味です。因みに神ノ禍の世界では、「午後七時」のことを「暮ノ刻(ゲルテ)」と言います。秋の先ごろだと、だいたい夕暮れが七時ぐらいに訪れるからとかいうのが理由です。

 そんなこんな、「A疑惑の錯綜」でも名前が出てくる「暮ノ戦記ラゴン・ラ・ゲルテ」の話です。

 簡潔に言うと「暮ノ戦記ラゴン・ラ・ゲルテ」とは、ひとつの時代の黄昏に起きた、大規模な大戦『白金戦争』を記した文献群のことになります。山の言い分、砂漠の言い分、どちらも平等に記されている、貴重な歴史書です。(……なので「異端だ!」などと言いがかりを掛けられちゃ堪らないと、メズンのおっさんは写本すらも手放したがらなかった……)

 『白金戦争』とは、新約:開国神話のモデルにもなった戦争のことです。なので、大筋は新約:開国神話と同じ。けれども開国神話とは違って、フィクションを織り交ぜた「叙事詩」ではなく、ありのままの史実を(少し読みやすく物語調に)綴った「歴史書」となっています。なので悪魔とか女神とか、そんな下らない言葉は登場しません。山を治める者は「オブリルトレ」、砂漠を治める者は「シアル」と明確に記されています。

 ……とはいえ、内容は開国神話とほぼ同一だし、本編でも結構語られることの多かった名前なので、あんま書くことないかな、って感じ。細かいことは、君たちの妄想空想に委ねるぜ!