【敬称について】

「卿/妃/夫人」などの敬称について


神ノ禍では、「高貴な身分にある男性」を総じて「卿」と呼んでいます。シルスウォッド卿、ダルトレイニアンス卿などがその例です。それで「卿」と呼ばれる男性は原則、大なり小なり領地というものを保有している領主というのが大前提であり、領主でなければどんな金持ちでも「卿」とは呼ばれません。

因みに騎士も、卿とは言いません。基本的に彼らはフルネーム呼び捨てになります。シアル騎士団団長リノス・ベント・フェルデは、そのままリノス・ベント・フェルデと呼ばれていますし……。

それにこの世界の騎士は「《光帝》に絶対の揺るぎない忠誠を誓う兵士」というニュアンスになりますので、大した地位は与えられてないんですよね。トップに上り詰めでもしない限りは。

だって叙任ノ儀だって、アルダンは一人一人が個別に叙任をされるのに対し、シアル騎士団の騎士たちは年に一度、一括にまとめて叙任ですから。だからシアル騎士団が騎士団ではなく、俗に「神国軍」と呼ばれるのはその所為。騎士団というより、国の軍隊という感じなんです。

……とはいえ、英国式でいえば騎士は卿になるんですけどね。神ノ禍は違いますので。何故かと言えばこの場合、SirはSirでもあくまで敬称でしかないからです。「Mr.〜」とか「〜様」と同じようなものだという認識です。


んで「夫人」は卿と同じく、「高貴な身分にある女性」のことです。だいたいは領主である卿の妻、という意味になるのですけれども、高貴な身分にある未婚女性が土地の領主であり一家の当主である場合でも、「夫人」と呼ばれたりします。既婚か未婚かで敬称が変わる事はありません。夫が居なくても夫人になります。

(本当は夫人ではない別の名称にしたかったんですけどねぇ。高貴な身分の女性を意味する肩書きが、あまり無くて……)


けれどもシアル王家の女性だけは例外で、彼女たちに宛がわれる敬称は「妃」になります。読みはキサキではなく、ヒですね。シェリアラ妃、イゼルナ妃、シェルティナ妃、なんて言われてます。

けれども「妃」という敬称は、王権を握っていない女性──《光帝》ではない他の女性王族──たちにのみ使われます。夫人、と呼ばれることはめったにないのかな? でもイゼルナさまは妃とか夫人とかという敬称を嫌っているので、あまりそれを付けて呼ばれることはないですね。イゼルナは、イゼルナさま。だってイゼルナさまだから。

そんなシアル王家でも、シエングランゲラだけは例外。彼女は家を出ていて、シアル騎士団に所属する軍人の身である以上、呼び方は他の騎士たちと同じフルネーム呼び捨てが基本。ただ家を出ている以上、苗字というものを持っていないので、「シエングランゲラ」だけになります。


そんなもんかな、とりあえずは。